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インフルエンザ治療の新薬

インフルエンザ治療薬に「ゾフルーザ」という薬が3月14日に発売されました。吸入治療薬のイナビルのように、インフルエンザ感染症に一回の使用で治療が完結する錠剤です。10歳以上の小児に対して、体重に応じて増量します。厚労省が2015年に創設した画期的な医薬品や医療機器を早期に実用化するため審査期間を短くする制度の「先駆け審査指定制度」によって、承認申請から4か月という異常な速さで承認され、さらに、1か月足らずの審査で緊急発売されました。世界で先駆けてという新薬であるという事と、まだ動物実験の段階ですが、鳥インフルエンザウイルスや、従来の治療薬に耐性をもったウイルスにも効果があることも分かり、パンデミック(大流行)への備えにもなると判断されたことが緊急発売の理由だと思われます。

インフルエンザウイルスはまず、鼻や喉の粘膜の細胞に入り込みます。細胞の中で増殖した後は、外に出て隣の細胞に次々と入り込んでどんどん増えていきます。これまで使われてきたタミフル、リレンザ、イナビルなどの従来の治療薬は、細胞内で増えたウイルスが細胞から外に出ることを遮断することで、周りの細胞に感染が広がっていくのを防ぎます。一方、ゾフルーザは、細胞内でのウイルスそのものが増えないようにする働きがあります。

世界初なのでまだ少ない臨床試験の結果では、症状が出ている時間に大きな差は無いようですが、ウイルスが体から消えるまでの期間が短くなり、有害な副作用の出現率が低いとされています。