[意外に多いインフルエンザ以外のウイルス感染症]
インフルエンザの流行の時期になりました。この時期に風邪(かぜ)をひくと、「これはインフルエンザかな?」と思ってしまいます。実際は、流行のピーク時期でも子供の発熱患者のおよそ3人に1人がインフルエンザ感染症ですが、残りの2人はインフルエンザ以外のウイルスによる風邪だといわれています。インフルエンザ以外のウイルスには以下のようなものがあります。
[ライノウイルス]
症状は、鼻汁・鼻閉・くしゃみ・のど痛・発熱・頭痛・咳・食欲不振・全身倦怠感など。軽い場合が多い。飛沫(ひまつ)感染ならびに鼻汁が付着したオモチャ・家具などからの接触感染。潜伏期は1~2日、一般には数日で軽快する。
[コロナウイルス]
症状は、鼻汁・鼻閉・くしゃみ・のど痛などの症状が中心で、約20%に38℃程度の発熱を伴う。タイプによっては肺炎の原因になることもあり、2003年に世界中で問題になったSARS(サーズ)は新型コロナウイルスですが、2004年以降の大きな流行はない。飛沫感染。潜伏期間は2~4日。
[パラインフルエンザウイルス]
名前に「インフルエンザ」という言葉が含まれていますが、一般的なインフルエンザとは全く別物です。症状は、咳・鼻水などですが、場合によっては、「クループ症候群」や「肺炎」の原因となり、耳下腺の炎症を伴うと「おたふくかぜ」との区別が難しくなる。飛沫感染。潜伏期間は2~6日。
[ヒトメタニューモウイルス]
2001年に発見されたウイルス。小児の呼吸器感染症の原因ウイルスとして最近注目されていて、多くの子供は乳幼児期にこのウイルスの感染を経験している。軽い風邪の原因になるだけでなく、乳幼児の気管支炎や肺炎の原因として重要といわれている。
[その他]
インフルエンザ以外のウイルスは迅速診断キットがないため、確定診断は不可能です。これらの病気の診断病名は「かぜ症候群」であって、病原体が何かということより、気管支炎・肺炎・脱水症・髄膜炎や心筋炎などの合併症の有無について注意することが大切です。抗生剤も効きませんし抗ウイルス薬もないので、治療は対症療法になります。
(平成23年12月18日)