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北海道)置き去り事件

北海道の森の道に置き去りにされた小学2年生の事件は、「しつけ」について色々な事を考えさせられました。

「犬と子供のしつけはドイツ人にさせろ」という「ことわざ」が、ふと、頭に浮かびました。ドイツ人は子供と話す時、座って子供と同じ目線まで下がる人が多いと言います。例えば、子供が何か悪さをした時、どうしてそうしたのかを尋ね、どういう理由で良くないのかをきちんと説明し、もし自分がそういうことを友達にされた時にどう感じるのかを考えさせたりするそうです。「そんな子供に分かるはずないじゃないか」というような小さな子供に対しても1人の人間として接するそうです。

よく言えば「真面目、几帳面」、悪く言えば「バカ真面目、融通が利かない」的な気質を皮肉った「ことわざ」なのでしょうが、実際に犬の「しつけ」に対する根気強さと上手さにも定評があるそうです。

私の子供の頃はどうだったでしょうか?家庭での私の父親は古いタイプの日本の親父。感情的に激高する人で、私の言葉に耳を貸してくれる事は無く、当時3階建てだった病院の屋上にカギをかけて締め出す「しつけ(?)」は定番でした。その時の私自身の心情は、今でも鮮明に覚えています。

自分が悪かったと理解している時は、後悔と反省の感情で一杯でした。自分なりに意見や理由があり、父親の行為に納得がいかない時は、「どうしたら、父親に意見が出来るだろうか?」と、ずっと考えていました。まずは、屋上から、わざと近所に聞こえるように泣き叫びました。屋上から脱出する事ができたら・・・「困らせる事で抗議したい!」そんな怒りにも似た感情も渦巻いていました。

屋上に締め出される「しつけ(?)」は、年長~小学校低学年頃でしたので、北海道の少年も、もしかしたら・・・ニュースを観ながらそう思いました。

「しつけ」とは、どうする事が正解なのでしょう?生きていく上で必要な最低限の事を教えてあげる事でしょうか?威圧的に教え込んだり、怒りに任せて叱りつける事では決してないハズですよね。でも残念な事に、私も感情をコントロールしきれない未熟な親の1人なのです。

(平成28年6月16日)