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保育園に一番必要なモノは?

保育とはただケアをすればよいという訳ではありません。おむつ替え1つにしても、赤ちゃんと目を合わせ、語りかけ、優しく触れる等という関わりが大切です。赤ちゃんは安心感を得て「情緒の安定性」を獲得していきます。乳幼児の心や成長に一番必要なのは、「優しく温かい人の心」だと思います。

保育士による園児虐待事件も相次いでいます。6年ほど前に「待機児童」が大きな問題になって以来、国の「待機児童ゼロ」政策によって待機児童は大幅に減ったかの様に思えますが、保育環境改善は進んでいるのでしょうか。私も園医として保育の一端を担う者として、「保育園に一番必要なモノ」を一手に握る保育士への環境改善も必要ではないかと思っています。賃金1つとっても、負担の重い仕事に見合う賃金は支払われず、全産業平均より月額5万円低いとも言われています。やりがいと、赤ちゃんの笑顔や成長などの「賃金以外の報酬」だけでは補え切れていません。小児科医も同じ問題を抱えていて、厳しい労働条件である上に、専門知識・経験と特殊技術を求められる為、どんどん目指す若手医師が減っています。

国は「子供真ん中社会」を掲げているハズですが、関わっている「人」を大切に出来ているのでしょうか。保育に一番大事なモノを忘れては、少子化に向かって国際的な力さえも失っていく負の流れは止められないと思います。

健やかな子供の成長と子供達の明るい未来を求めて。