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溶連菌感染症と劇症型

B型インフルエンザ感染症に加えて今、溶連菌感染症が流行しているようです。

先日、「溶連菌感染症」を診断された親御さんに、「劇症型は大丈夫でしょうか?」と言われて、思わず「えっ?なんで?」と思ってしまいました。それくらい、流行中の「溶連菌」と「劇症型溶連菌」は、同じ菌でありながら別の病気と言えるくらい症状も経過も異なります。

では、通常の溶連菌感染症と劇症型溶連菌感染症は何が違うのでしょうか。

また、通常の溶連菌感染症から劇症型溶連菌感染症に移行することはあるのでしょうか。

溶連菌による一般的な疾患は咽頭炎であり、その多くは小児が罹患します。

一方、劇症型溶連菌感染症は子供から大人まで広範囲の年齢層に発症しますが、特に30歳以上の大人に多いのがひとつの特徴です。傷口から感染することが多く、「ノドが痛い」事で見つかる溶連菌感染症と異なり、約30%が致死的で、別名「人食いバクテリア」とも言われています。重篤な持病を持っていなくても突然発症することがあり、四肢の疼痛、腫脹、発熱、意識障害等の初期症状から始まる事が多く、急激に悪化して発病後数十時間以内には軟部壊死、急性腎不全等を引き起こして致死的になることもあります。どの様なメカニズムで劇症型が生じるかは不明です。

今流行中の「ノドの痛みで見つかる」溶連菌感染症から劇症型に移行することは成人にて症例報告されるくらい非常にまれです。

溶連菌感染症と診断されても、「ノドの痛み」から見つかり、診断された現在激烈な症状が無い咽頭炎は、全く別疾患と考えて良いと思います。