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過換気症候群

[「ペーパーバック法」は誤った対処法です!]

不安や心配が強くなってくると胸が苦しくなってドキドキとしてきて次第に呼吸が浅く早くなることがあります。この状態が進行してくると呼吸は荒くやたらあえぐように空気を吸い込み体内への酸素の取り込みが多くなってきます。そのために、手足や唇の痺れや動悸、めまいなどの症状が引き起こされる状態を「過換気症候群」と言います。

通常血液中の酸素は、赤血球の中のヘモグロビンとくっついて体の各部分まで運ばれて、各部の細胞でヘモグロビンから切り離されて細胞に届けられています。しかし呼吸しすぎると血液中の酸素は多くなるのですが二酸化炭素が少なくなって、ヘモグロビンから酸素が離れにくくなり細胞に酸素が運ばれにくくなってしまいます。これがたくさん呼吸するのに、体内で酸素が足りなくなるメカニズムです。

では、治療はどうすればいいのでしょうか?。

ごく最近まで、「ペーパーバック法」という、紙袋に吐き出した二酸化炭素を再び吸うという方法が推奨されていました。しかし、窒息する危険性や、余計に本人にストレス(恐怖・混乱)を与えてしまう事、ペーパーバックでの二酸化炭素の吸入には効果がない事などが述べられるようになって、最近の救急の現場では、むしろ「行ってはいけない事」とされています。

[過呼吸の正しい応急処置]

過呼吸は時間が経てば必ず症状が落ち着くのでそっとしておくのが基本です。
他に、(1)息を吐く事を意識させる (2)「吸う:吐く」=1:2 (3)1回の呼吸で10秒くらいかけて吐く (4)背中や胸をゆっくり押す、などと言われていますが、なかなかうまくいかないものです。落ち着かせるために話しかけて、「しゃべらせる」ことが簡単かもしれません。しゃべっている時は過呼吸はできませんから。

(平成25年9月16日)