「かかりつけ」の医者って、何をもって「かかりつけ」っていうのでしょう?
私達医者側からすると、「その患者さんの持病・特性・病気になった際の傾向(このように体調が崩れやすいだろうなって予測しやすい)」方を「かかりつけ」と考えています。当然、健康な状態も把握している必要があるでしょうから、定期予防接種は「かかりつけ」で行っているでしょう。生後以来ずっと予防接種は○○病院で、数回診させていただいただけの当院は、「かかりつけ」とは言い難いでしょう。主要な定期接種を行った後、引っ越しなどで新しく病院にかかるようになる場合もあるでしょうから、一般的な言い方に無理やり言い換えるとすると、「元気な時も知っている『おなじみさん』」が分かりやすいかもしれません。
休日当番や、いつもの病院が休みだから受診した様な病院は、何度受診していたとしても「かかりつけ」とは言い難いと思います。
「今日から『かかりつけ』になります」と言われることもありますが、前述の事を考えると「かかりつけ(おなじみさん)」とは言えませんよね。また、カルテ保存義務のある5年以上診させていただいた事がない方も、その間にどのような体調や免疫の変化があったのか、成長による変化も大きいでしょうから、小児科の様な成長が大きくかかわる診療科では、より「かかりつけ」という事の難しさが出てくると思います。
小児期の病気は、急変する事や、思いがけない悪化がつきものです。急激に悪化する一方で、コロッとウソのように劇的に改善する事もあります。日曜休日当番などで「かかりつけ」の代わりの診療で、2~3日分しか処方する事が出来ない理由でもあります。
児の特性や傾向をある程度予想しやすい「かかりつけ」を診る普段の診療に比べて、あまり診た事がない、普段の状態も知らない児を診る時は、どうしても慎重になってしまいます。
定期予防接種や健診で、普段の健康な状態を診させていただきながら、体調が悪い時に、親御さんと一緒に考えて対応し(病気は医者が治すのではなく、医者は親御さんから情報をいただきながら、治癒への積極的なサポートをさせていただくものだと考えています)、御子さんの健康について、発達や個性について、親御さんの次に理解している医者が「かかりつけ」の医者であると考えています。